コラム

風景写真の撮り方 「太陽光」を撮影するには?

2015.10.01

© kotarograph/pushadelic 1/3 f16.0 ISO100
http://www.pashadelic.com/ja/users/100009-kotarograph

© kotarograph/pushadelic 1/4 f16.0 ISO100
http://www.pashadelic.com/ja/users/100009-kotarograph

上の写真のような、ドラマチックな「太陽の光」を撮影するにはどうしたら良いでしょうか。光を撮ることは、明暗が極端な風景でない限り、さほど難しくありません。しかし、まずはこういった光の筋ができる場所に行かなくては、もちろん撮ることができません。では、どんな場所に行けばこんなシーンに出会えるのでしょうか?

このような光の筋は、空気中の水蒸気に、強い太陽光が反射して見える現象です。空気中の水蒸気といっても、一粒一粒はなかなか目に見えないものですが、日常でも遠くの景色がかすむのは、この水蒸気が原因。水蒸気はさらに密度が高くなると、霧や雲になります。

冬になると、遠くの景色がはっきり見えるのは、空気が乾燥していて湿度が低く、空気中の水の粒が少ないからです。

上の写真の場合、木の葉によって木漏れ日状態になった日差しと、霧状の空気によってこのような状況が現れています。
そのほか、雲間から射す光が、海や山に現れた霧状の空気の中を通過するときにも見ることができます。


©Hiroshi Kawakami 1/4400 f2.2 ISO32

光の筋は逆光のとき、より一層はっきりと見ることができます。
それは、光の明るさの差が大きいほどはっきり見えることと、順光のように正面から満遍なく光が当たってしまっては、全体的に白くかすんでしまうだけの状態になるからです。

霧状の空気は、水温に対して空気が冷えているときに起こりやすくなります。それは、空気の温度が低いと相対的に水温の方が高くなり、水蒸気が発生しやすくなるからです。
そのため、秋冬にかけて晴れた日の早朝や夕方には、光の筋を見ることができるチャンスが多く訪れるでしょう。

クロス状の光を撮る


©Hiroshi Kawakami 1/100 f22.0 ISO100

太陽や夜景の照明が星型にクロス状に現れた写真をご覧になったことはありますか?
これは、絞りを小さく絞り込むことで撮影できます。点に近い光が絞りの羽根の部分を通過するときに起きる現象なのです。

絞りは、数枚の羽根の組み合わせでできています。ミラーレスカメラなどでレンズを覗き込むと確認しやすいと思います。この絞り羽根の角の部分で光の形が変わり、筋状になって写真に映り込むのです。これは、光が通過する穴が小さければ小さいほど起きやすいので、絞りの数字を大きくして絞り込むほど星型のクロスがはっきりと現れます。

高級レンズほど、光は撮影しにくくなる?!


©HiroshiKawakami 1/250 f8.0 ISO640

意図的に強い光を取り込むことで、写真全体が白っぽくぼやっとすることを「ゴースト」と呼びます。まさに白いお化けのようなものが画面を覆ってしまう現象です。
ほかにも、光の筋や丸い光がいくつも連なって現れる「ハレーション」と言う現象が起きることもあります。これらは、カメラのレンズの構造上発生する現象です。

カメラのレンズは、何枚ものガラスを重ねて作られています。
レンズの表面を見ると、鏡ほどではないですが、光や景色が反射しているのが分かります。このレンズ表面の反射は、光の強さに応じて強くなります。奥のほうにあるレンズの表面で起きた反射は、その向かい側にあるレンズの裏面に反射してその反射はまたレンズの表面に……という感じで、レンズの枚数が多くなればなるほど、その反射は多くなり、白っぽい影として写真の画質をぼやっとさせていきます。
その反射が、ハレーションやゴーストという乱反射として画面の中に影響を与えます。

高級なレンズほど、レンズ表面の反射を抑えるコーティングと呼ばれる幕を塗って処理することで、できるだけ反射を抑える仕様になっています。
レンズ表面の反射を少なくすればするほど、ハレーションやゴーストが起きにくくなり、シャープでスッキリとした、ヌケの良いと言われる画質になります。
しかし、画質を劣化させる原因でもあるハレーションやゴーストを、逆に写真の味としてうまく活かすのも撮影テクニックの一つです。

ゴーストやハレーションをあえて撮影する


©Hiroshi Kawakami 1/800 f6.3 ISO100

ハレーションを光の筋のアクセントとして表現したいのであれば、強い光を画像の斜め上に持ってくると良いでしょう。そうすることで斜めに光の筋が走るので、構図に動きが生まれます。ハレーションは、太陽の眩しさやきらめきを感じさせるには優れた表現方法です。

ただし、強い光を画像に入れてオートで撮影すると、カメラが自動的に明るすぎると判断して写真が暗くなる場合があります。
そんなときは、逆光補正と同じ要領で、露出補正を+2段から3段くらい明るめに調整してみましょう。

もしくは、スポット測光や部分測光というモードにして、光が平均的にある部分だけを測光して露出を決めます。優秀なマルチ測光だと、部分的に現れた極端に強い光には、全体の露出が影響されない場合もあります。まずは撮影して液晶画面で確認し、自分の撮りたい光の角度や大きさを調節しましょう。

(川上博司)

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