連載企画 山村健児の「世界を撮る!」
第2回~素敵な写真とは「非日常」な写真~
2015.09.03どうやったら素敵な写真が撮れるのかと、聞かれることがあります。
私が思う素敵な写真とは、「非日常」な写真です。
非日常とは、“日常では見られないもの”や“経験ができないもの”のこと。
たとえば、以下のようなものが私の考える「非日常」な写真です。
Photograph by Kenji Yamamura @Pashadelic
Photograph by Kenji Yamamura @Pashadelic
Photograph by Kenji Yamamura @Pashadelic
いずれもちょっと視点をかえれば撮れるものばかりです。
では、風景写真ならどういう写真が「非日常」なのでしょうか。
それは、ふだんはあまり目にすることがない景色の写真、雲がどんよりとしている天気の写真、朝焼け、夕焼け、そして星空の写真などです。
えっ?
朝焼け、夕焼けが非日常?と疑問に思った方……よく考えてください。
朝焼け、夕焼けを最後にきちんと見たのはいつのことでしょうか。
アメリカではよく家族やカップルでビーチに行き、朝焼け、夕焼けを見ています。
でも、残念ながら日本ではあまりそういう習慣はありません。
せめて、年始の日の出、富士山登頂のご来光を見るという方がいるくらいです。
それもそのはず。
朝焼けの時間帯は、まだ夢の中にいる方がほとんどでしょう(笑)
夕焼けの時間帯は、仕事や晩ご飯の真っ最中。
みんな自分の生活に精一杯で、景色なんて実はあまり見ていないのです。
あなたは、美しい朝焼け、夕焼けを見て、思わず写真を撮ってしまったことはありませんか?
ふだん目にしない景色だからこそ思わず撮ってしまう、それこそが「非日常」の証です。
風景写真家は、この「非日常」をあえて『狙い』にいきます。
時間と労力をかけ、朝焼けが綺麗な場所、夕焼けが綺麗な場所、海外の綺麗な場所まで「非日常」の景色を探します。
そこでさらに、どの季節が、どの時間帯が、どの天気が一番美しく写るのかを追求するのです。
そう……自分が理想とする景色を追い求め、全ての条件を満たした上で撮影に挑むのが、風景写真家です。
風景写真の一番楽しいところは、自分で自然をコントロールができないこと。
曇り、風、霧、太陽の光などはいずれも自分では制御不能なものです。
また、気象条件等によっては年に数日しか起きないという現象もあります。
この「非日常」を狙うために一番重要なことは、「正しい場所に、正しい時間に」いることです。
そのため、事前に調べたり、準備をしたりということが大切になります。
正しい場所、正しい時間に撮影することができたら、7割ぐらいの仕事が終わります。
残りの3割は、撮影テクニック、機材、写真の現像など。
如何にその場所に、その時間にいることが大切なのかがわかりますね。
風景写真は場所と時間さえ合えば、素敵な写真が撮れます。
ということは、本当は初心者の方でも簡単に良い写真が撮れるのです。
是非、みなさんもこだわりの1枚を撮りに行ってみてください。
たとえば、正しい場所、正しい時間のコンセプトで分かりやすい例といえば、
富士山の「ダイヤモンド富士」でしょう。
「ダイヤモンド富士」とは、太陽の位置が富士山の頂上に重なる時に起きる現象のことです。
これは多数の撮影場所で見られますが、まさにピンポイントでその正しい場所に正しい時間にいないと撮ることができません。
さらに、湖面に富士山が映る、逆さ富士でかつダイヤモンド富士になると、「ダブルダイヤモンド富士」と言われます。
もうこうなると本当にピンポイントの時間、その場所にいないと撮影はできません。
みなさん、わかりましたでしょうか?
素敵な写真を撮るためには「非日常」を探すことです。
そして、風景写真では「正しい場所と正しい時間」にいる事が大切。
風景写真の撮影場所がわからなければ、Pashadelic.comで探してみてください。
最後にアイスランドの冬の時期にしか入れない氷の洞窟の写真をご紹介して、今回は終了です。
それでは、次回もお楽しみに。
Photo by @Pashadelic kenji_yamamura
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