コラム

風景写真の撮り方

「水」を活かした撮影方法

2015.08.07

水面の映りこみを活かして撮影してみよう!


© Hiroshi Kawakami 1/8 f13.0 ISO800

この写真は、京友禅の布地を透明なアクリルの筒に入れたオブジェが並ぶ、京都の京福電鉄、嵐山駅で撮影しました。「龍の愛宕池」と呼ばれる小さな池の中央には、龍が彫られた丸い石の玉が。
そして、周囲を囲む水面に映る京友禅のオブジェが、とても美しく幻想的です。
その水面は、鏡のような静寂な時間と、龍が水中から湧き上がるかのごとく震える時が交互に訪れます。

この写真では、揺れる水面に映るオブジェを、炎のゆらめきのようなイメージで描写しました。
まるでオブジェが水中から生えているようにも見えますが、あくまでも池の外に並んでいます。

撮影時に注意した点は、
1. 広角レンズで水面に近い位置にカメラを構え、水面の奥行き感を出すこと。
2. オブジェと水面との画面に占める面積のバランス。
3. オブジェがまっすぐ垂直に左右バランスよく、そして石のオブジェが真ん中に写るよう、
  カメラを水平垂直に構える。

俗に言う、シンメトリーの構図です。

広角レンズで撮影することにより、遠近感が強調されるので、空間の広がりを感じさせる写真に仕上がっています。

手前から奥までしっかりピントを合わせたかったのと、スローシャッターで、水面のゆらぎを少しブレさせて撮影したかったので、絞りはf13、感度はISO800で、シャッタースピードが1/8秒。
暗さと色の深みを出すために、マイナス1/3の露出補正
をかけています。

水滴がしたたり落ちる瞬間を撮る


© Hiroshi Kawakami 1/250 f6.3 ISO200

この写真は、お寺を散策している時に見つけた風景です。

手水舎の水源になっている竹の先端からしたたり落ちる水や、水面に水が落ちた時にできる波紋を、屋根の下の日陰の中、少し逆光気味の状況で撮影しました。

逆光だからといって被写体を明るく補正するのではなく、シルエットとして表現し、水滴は、背景の明るさをレンズ効果で映しこませることで、明るく光った状態にして、その明暗のコントラストを印象的に表現しました。

日陰で、ホワイトバランスを太陽光にして撮影すると、少し青みがかった色に仕上がります。この写真の持つ青みや薄暗い雰囲気が、この場所の落ち着きや静寂を印象付ける要素になっています。

この青みを出したくない時には、ホワイトバランスを日陰モードにすると、青みが補正されて、色合いが自然に写せます。

この写真の撮影データは、シャッタースピードが1/250秒で、絞りがf6.3、ISO感度は200に設定しています。

ひたすら早いシャッタースピードで、水の動きをピタッと止めるのも良いですが、今回は少し水が動いている感じを出すために、止めつつもブレるくらいのシャッタースピードに設定しました。

背景をシンプルに、ボカシ気味にすることと、それぞれの物の形がゆがみなく端的に表現されるように、レンズは135mmの望遠レンズで撮影しています。

また、水のしたたり落ちるタイミングによっても、水滴の表情は変わります。基本の構図を決めたら、納得のいく水滴の形が得られるまで、何枚も撮影してみましょう。

ちなみに、水滴が落ちてこない時は、水にピントが合わせられませんよね。この撮影の時は、竹の先端の水が落ちてくるポイントにピントを合わせておき、水の落ちるタイミングに合わせてシャッターを切っています。
マニュアルフォーカスでピントを合わせても良いですし、オートフォーカスのポイントでピントを合わせたい場所に来るように選択するのも良いでしょう。
(川上博司)

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